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秦基博「風景」に聞く日本のバラードとその歴史

たまーに聞きたくなるのがバラード。
しんみり、しみしみ系ですね。

バラードは、年がら年中、聞いていると、しんどくなりますが^^;
たまーに聞くにはいいんですね。
スパイスのように効きます。

で、バラードは多いですからね。
石を投げれば、バラードに当たるくらい、
適当にチョイスしても、バラードはヒットします。


で、そんなバラードでも、わりと時々聞くのが決まっています。
秦 基博さんは、そのお一人ですね。

秦 基博 / 風景


秦 基博さんの「風景」。
ご本人出演のPV。

王道ど真ん中のバラードですね。
このしんみり感^^;

でも、なんかいいんですよね。
このブロークンハート感。
傷ついた心。
そんな心を癒やす感じがあったりします。

うーん、これこそが、日本のバラード。
ある種の癒やし系。

この曲、確か富田恵一さんがアレンジだったかな。
違ったかな?

アルバム「コントラスト」に収録されています。




しかし、日本のバラードは、昭和40年代にヒットしたフォークソングに、
そのルーツがありますね。
神田川」とかです。
和製バラードは、フォークソングとなって、日本化します。

かぐや姫 - 神田川


フォークソングこそ、和製バラードなんですね。
この「しんみり」感。




その後、オフ・コースが登場します。
その洗練されたポップス性をひっさげて、
バラードを連発します。

が、やっぱり暗くしんみりしています^^;

オフコース/Yes No


オフコースのヒット曲「Yes No」。
なんとも懐メロ^^;
昭和歌謡って感じですね。

この曲、イントロが印象的なんですね。
が、メロに入ることろで、ググっと転調して、さらにフェイントをかけてきます。
で、鮮やかさを引き立てているんですね。

しかもサビでも転調を仕掛けてきます。
もう、この転調で、ドラマ性を出すことに成功。
「Yes No」は、転調を多用し、印象付けに成功している
立体的構造を取った曲なんですね。

イタリア音楽に多い転調の手法を多用し、
中だるみさせず、最後まで鮮やかさをキープ。
このスリリングな鮮やかさが、恋心とリンクしますので、
恋歌として傑作ともなっているんですね。

ま、これにはヤラれますわな^^;
ヒットするのも宜なるかな、って感じです。




で、昭和歌謡オフコースの話しは、これくらいにして、
日本のバラード。

日本のバラードは、どうしても「しんみり」しますね^^;
なので、年がら年中、頻繁に聞くモノではないと思っています。

たまーにですね。



ちなみに、欧米のバラードは、「しんみり」系とはまた違います。
「絶叫」系「シャウト」系になりますね^^;

「おぉぉぉー、オレは猛烈に悲しいんだぁぁぁぁー」という
感情のほとばしりがあります^^;

Billy Joel - Just the Way You Are


アメリカンバラードでは定番の
ビリージョエル「Just the Way You Are」。

熱唱していますからね^^;
それに呼応するかのように情熱的なサックスが入ります。
おー、これぞまさに欧米バラード。
感極まります。
ブロークンハートを美しさと希望へと見事に昇華。

しかし久しぶりに聞いた「Just the Way You Are」はいいですね。
中でも間奏がいい^^

バックで奏でられるストリングスのアルペジオが、
まるで流星だか雨かのよう。
で、それが未来への希望を示唆しているかのようでもあって、
そんな流星の中、切なくももの悲しい、あふれる思いを語るかのような
サックスのソロがいいんですね。
絶妙な音構成です^^
情感描写としても最高ですね。





その点、日本のバラードは後悔やら怨念が残るんですね^^;
未解決な心を残したまま、うじうじするところがあります。
「おしめり」系といいますか^^;
どこかスッキリしない。

秦基博さんの「風景」は、まさに「おしめり系」。
「こってり系」ともいいましょうか。
「こたつぬくぬく系」というのもあります^^;

しかし、見方を変えれば、「いつまでもウジウジしてんじゃね」^^;
と一喝したくなるのが、和製バラード。


で、洋の東西を問わず、バラードは、その根底に「悲しみ」があります。
その悲しみを昇華したのがバラード。

で、もっと掘り下げると、バラードの根底には「情感」があります。
「ハート」があります。

しかも「傷ついたハート」。
傷ついたハートを昇華し、癒やすのがバラードという音楽。


バラードは、ハート系の音楽だったりするんですね、実は。
なので、片思いや失恋ソングに、バラードが多いんですね。

で、傷ついたハートが根底にあるとしても、
属性としては、バラードはハート系の音楽になるわけですね。


この手の属性に、実は、ヒーリングミュージックがあったりします。
しかも、魂を癒やす系です。
バラードではないんですけどね。

たとえば、ビル・ダグラス。

Deep Peace - Bill Douglas


ビル・ダグラスの「Deep Peace」。
ヒーリング・ミュージックですね。

が、同じヒーリング・ミュージックでも癒やし系です。
傷ついた心、魂を癒やす響き。

これと同じようなのが、教会音楽にもあります。
教会音楽もハート系音楽ですからね。





というわけでして、秦基博さんの音楽から、
バラードの話しになって、ヒーリング・ミュージックになり、
教会音楽となりましたが、これらは全て、ハート系音楽なんですね。

で、しんみり・メソメソなバラードですが、
秦基博さんは、いいバラードを作っていますね。

こちらは富田恵一さんによる、バラード。
フューチャリング秦基博さん。

パラレル 冨田ラボfeat,秦基博 2009大阪城野音Live


パラレルですね。
これ、オリジナルのCD版がいいんですよ。



昔、通勤途中でよく聞いていたのものです。
富田恵一さんのバラードは、しんみりし過ぎないのがいいんです。

どこか、カラっとしながらも、バラードという、
この絶妙なバランス感がいいんですね。


といわけでして、秦基博さんの「風景」から、
和製バラード、日本のバラードの話しでした。

和製バラードは、しんみり系。
消火しきれない未練が残ったうじうじ系バラードが多いかな、
と思いますが、しかしそれが、日本人の集合無意識にもなっていて、
特有の文化なり気質を形成しているんじゃないかとも思います。

ウジウジ系バラードは、たまに聴くと、なんかいいですね。

で、まあ、そういう無意識とはちょっと違う、ラテン系の気質を持った者にすると、
日本って不思議なワールドなのね、というのが感じられたりもしましょうか。